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過去に余市蒸溜所を訪れた時の写真を見ていたら、今は無い建物があることに気づきました。
これは2002年に三号貯蔵庫を撮影した写真なのですが、今は左手の建物がありません。

手っ取り早い確認方法としては航空写真かなと思い、少し調べてみました。
以下の航空写真はすべて国土地理院から。
出典:国土地理院ウェブサイト 
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2015年
分かりやすいように航空写真に文字を追加しました。旧竹鶴邸の裏道を三号貯蔵庫に向かって見ると(赤色の矢印)左手に建物が見当たりません(赤丸)。
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2008年
A・・・2008年にはもう存在していないようですね。
ただ、もう一つ別の違いに気づきました。
B・・・Bの場所にも貯蔵庫が見えます、これも今は存在していないため、2008年以降に取り壊されたようです。
C・・・この年、Cの位置の2棟がウイスキー博物館に改装されました。
2017年現在、貯蔵庫は26棟ですが最大30棟が使われていたということでしょうか。
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2000年
今回存在が気になった旧竹鶴邸裏の建物、白黒で分かりづらいですが2000年にはありますね。2000年から2008年の間に取り壊されたようです。
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1976年
2000年の航空写真が白黒しか無く、見にくかったので1976年のカラー写真。
蒸溜棟から石炭の煙が見えます。
ただ、こうなると間違い探しのように、他にも違いを探してしまいます。
A・・・カラーで見ると、貯蔵庫らしき建物がしっかり見えます。
B・・・2000年の白黒写真では分かり難かったですが、旧竹鶴邸がありません。2002年12月に余市町近くから蒸溜所内に移築しています。
C・・・2000年の写真にある貯蔵庫がまだありません。70年代のウイスキーブームで増築されたのでしょう。
D・・・ニッカ会館、ショップのノースランドはありません。
E・・・2000年の写真にある建物(貯蔵庫?)及び、このEの位置の北側の大きな建物がまだありません。
F・・・製樽棟が増築前。

更に過去の航空写真が見てみたくなってきます。
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1965年
貯蔵庫の周りに堀のように池がありますね。
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1948年
ニッカウヰスキーになる前の、大日本果汁の時代。
貯蔵庫は一号、二号棟しか見当たりません。
池のように見えたのは余市川の中州。埋め立てて貯蔵庫が建造されていったことがよく分かります。

さて余市蒸溜所を航空写真で見てみたわけですが、1965年から76年の写真を見ると、ウイスキーブームにのって10年ほどの間に、貯蔵庫の建設ラッシュがあったことが分かりました。
しかし、国内のウイスキー消費は1970年台をピークとしてずっと右肩下がりで、2008年にはピーク時の1/3の出荷という過去最低を記録しています。推測になりますが、2008年頃にはニッカもかなり生産を抑えていたため、使っていない貯蔵庫がいくつもあったのでしょう。2008年にニッカ会館に近い貯蔵庫は博物館に改装され、今回気になった建物を含む2棟も取り壊されています。ただ数ある貯蔵庫の中でなぜこの2棟を取り壊したのか分かりませんでした。
非常に気になるのですが、もしご存知の方がいらしたら教えてください。